阪神電車 2020年ダイヤ改正と今後の戦術

阪神電車が今年3月14日にダイヤ改正を行うとのことです。

主な変更点は快速急行の一部8両編成化ですね。まあ快急関連しか変わらない気がします。

 

また、噂程度にしか聞いてはいませんが芦屋が快速急行停車駅から外されるとのこと。ということは、本線における快急の主な停車駅が神戸三宮、魚崎、西宮、甲子園、尼崎になるということになります。(元町以西、今津、武庫川は割愛)もしかすると6連で運行される時間帯は芦屋にも停車するかもしれませんが。この5駅は、ほぼすべての種別が停車する駅であり、魚崎以外はすべて駅長のいる駅もあります。つまりこの停車パターンでは最上位種別となるのです。現在でも特急・直通特急とともに最上位種別ではあるのですが、芦屋・御影の通過により、快速急行が特急・直特より上位となり、阪神本線における最上位種別となります。快速急行が最上位種別となるのであれば、甲子園通過が直特から快急に変わる可能性すらあります。最上位種別から外される特急は今後どのような役割を担うことになるのでしょうか。

 

ということで、1990年代から現在までの阪神を取り巻く環境をおさらいし、特急のこれまでの役割と今後の役割の予想をしていきたいと思います。

話は大体阪神淡路大震災から始まります。奇しくも今年で25年ですがそれは置いといて、この阪神淡路大震災によって山陽電車が復旧まで1年を要したため、多くの乗客がJRに流れてしまいました。これだけならまだなんとかなったでしょうが、ここでJRは西明石までだった新快速を姫路まで直通させてしまい、山陽電車は窮地に立たされます。この新快速はJRのアーバンネットワーク計画を支える列車であり、広大な路線網とスピードを生かした戦術で私鉄を次々に窮地へと追い込みました。(私鉄としては日本一の路線網を誇る近鉄を除いて。同じ戦術で私鉄に勝てるわけがないんですよね。何年間地域の足として使われてきたと思ってるのかと)

そこで対抗策として、阪神と手を組み、直通特急を設定、大阪梅田までなら山陽電車でも乗り換えなしで行けるようにはなったのですが...神戸高額低速鉄道がボトルネックとなり全然スピードが出ません。姫路、大阪梅田間での所要時間の差は30分にもなるのでスピードでは対抗のしようがありません。結果開き直って競合区間の停車駅を増やし、JRでは普通しかないから遅いという人をターゲットにした停車駅を設定したのです。

実はJRのアーバンネットワーク計画を受けて阪神も当時この方針になっていました。駅数の有利を活用して千鳥停車を駆使し、阪急やJRでは普通しか止まらないけど阪神なら急行なども止まる、という駅を増やしていたのです。

そんな事態が2009年3月20日まで続きます。この日、西大阪線が延伸開業し、阪神なんば線となりました。ついに近鉄との相互直通運転が始まります。さて、阪神が窮地に立たされたのはアーバンネットワーク計画が原因でした。そしてそのアーバンネットワーク計画は広大な路線網とその路線を結ぶ新快速をはじめとした高速の無料列車たちが武器でした。そして上でさらっと触れましたがこのアーバンネットワーク計画は近鉄には対抗しきれず、奈良は近鉄が圧倒的有利な状況。その近鉄とつながり奈良へ直通することができるのであればアーバンネットワークの路線網に同じように対抗するだけでなく、行き先の異なる新快速との差別化を図ることができるようになります。JRや阪急が乗り入れてないミナミ(大阪難波)へ乗り入れることで、快急以外も尼崎の接続で十分差別化ができます。結果的に阪神が輸送のシェアを奪い返していくことになりました。つまり現在の阪神の主力は快速急行になりますし、神戸高速鉄道を挟む明石・姫路方面の直特でスピード勝負するより、難波・奈良方面の快急でスピード勝負をしたほうがよほど効果を望めます。さらに、JR(や阪急)では普通しか止まらない駅に特急・直特を止めることでこれまで通りの旅客需要も期待できます。これが2020年以降の阪神の戦術となるでしょう。

 

もう一度わかりやすくまとめるなら、快急で難波・奈良方面への速達の需要を取り込み、直特で快急やJRの新快速が取りこぼした乗客の需要を取り込むこの2本柱でJRに対抗していくことになると考えられます。実は阪神1000系は120km/hでの営業運転に向けた準備工事が初めから施工されています。阪神9000系快急から降りれば120km/h運転も開始されるかもしれません。そしてJRは狂気...ではなく狭軌なのでスピードを出すポテンシャルは新幹線と同じ国際標準軌を採用した阪神のほうが高いです。阪神の有利は今後絶対的なものになるでしょう。