JR東海と静岡県の確執:非公表資料のリーク事件
ところが非公表とされた資料はすでに1年前に記事にされていたらしく、しかもどうやら静岡県自身が「公にすることにより率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ、不当に県民の間に混乱を生じさせるおそれ」があるとして非公表に同意したらしいのです。つまり静岡県が以前非公表にすると決定したものを知事が今更になって公開しろと、県の担当課ではなくJR東海に求めるという頓珍漢な事態になっているのです。
そもそもこのJR東海と静岡県の関係が悪化した原因はのぞみが静岡県内に停車しないことにあるのですが、停車させたくてもできない事情があります。現在はのぞみの本数が増えすぎて停車パターンを区別すると途端にのぞみが詰まり、ひかり、こだまにまで波及しかねないため区別できないのです。となれば全列車を停車させるしかなく、交互発着ができる設備(=乗り場が最低でも4つ)が必要ですが、静岡県内に対応できる施設のある駅は存在しないのです。そして全列車停車になるということは必然的に全のぞみの所要時間が伸びます。新幹線が高額な根拠の一つはその速達性にあります。所要時間が伸びた際に値下げが求められる可能性もあり、その予算はいったいどこから出るのでしょうか?
さてここで一つお話を変えて関西のお話をしましょう。リニア中央新幹線開業後は、JR東海は2つの高速鉄道路線で自社内で競合することになります。同区間で競合する例を見てみましょう。神戸(高速神戸)~明石間の山陽電気鉄道本線とJR神戸線を比較します。ここでJRの最速達種別である新快速は一気に駆け抜けます。対して山陽電気鉄道の最速達種別、直通A特急は高速神戸、新開地、高速長田、板宿、月見山、須磨、垂水、舞子公園(全列車停車駅のみ)と細かく停車します。これはJRでは速達列車の止まらない駅に自社の速達列車を停車させてその人たちにとっては自社を使った方が早い、という戦術を採用しているからです。
話を静岡県に戻しましょう。この山電とJRの例を当てはめて考えると、中央新幹線開業後は東海道新幹線は停車駅を増やす可能性が期待できます。また本数的にも余裕が出てくるので、のぞみの静岡県停車も期待できます。つまりのぞみ止めたかったらリニアの建設を急がせてから改めてのぞみの停車を要請すれば良いのです。現在の静岡県知事の行動は誰も幸せになりません。もはやJR東海に対しての私怨でしか動いていません。静岡県民の皆さんは今一度今の県知事でいいのか考えなおすことを強くお勧めします。
最後に念のため書いておきますが、私自身は鉄道会社の意見をなんでもかんでも押し通したいわけではありません。むしろ九州新幹線長崎ルートに関しては佐賀県の言い分が正しいと思っています。これに関してはまた別の記事で書くかもしれません。