さらば、5006号

ものすごく今更ですが、2020年に尼崎車庫で車止めに衝突した5006号(5703号)のうち神戸方4両が廃車となったと知りました。

 

供養になるかはわかりませんが、5006号の歴史をまとめてみます。

 

5006号は、1986年7月4日産まれ、川崎重工業で製造されています。5000系は当初普通車向けの車両とされていたため、5006-5007-5603の3両編成で竣工しています。そしてこの3両は5006と5007の2両が廃車されるまで同じ編成であり続けました。

また、5000号から5012号までの7編成が同じ年に製造されており、1つ上の5004号から8日遅れでの竣工であり、1つ下の5008号も4日後の7月8日に竣工しています。

 

そして1989年、5000系を特急で運用するため、4両化が行われることになります。対象となったのは5000Fから5006Fまでの4本で、1989年5月27日生まれの5503号車を編成に迎えます。このあと5000系の一部はさらに中間車を増備して6両編成になったのですが、5006号は5006-5007-5503-5603の4両でしばらく走り続けることとなります。

 

阪神淡路大震災でも被災せずに、全車無事でした。震災に関して特に記載がないので、5006号は少なくとも山陽線内にはいたようです。余談ですが同じ5000系の5018号や5022号は神戸高速線内に取り残され、山陽線内に帰れなくなっていました。特に5022号は間一髪でトンネル崩落の被害を免れています。

 

1998年2月15日、直通特急の運転が開始されますが、4両編成の5006号は直通特急の運用には入りませんでした。代走はあったかもしれませんね。

 

その後、2001年の直特増発に向け、2000年10月3日生まれの5237-5253を編成に迎え入れ、いよいよ6両編成となり、直特の運用に入れるようになりました。車体番号で予想がつくと思いますが、この2両は5030系です。5000系は主電動機の関係で作れなかったので、5030系を組み込むこととなりました。さて、この2両のうち、5237号は廃車され、5253号は生き延びました。同じ中間電動車ということで、双子のような存在のはずですが、死別することとなりました。

 

また、2003年、NHK大河ドラマ、武蔵のラッピングを施されていたようです。その後は特にラッピングなどはされていません。

 

そして2020年には5004号に続き、リニューアル工事が施工されることとなります。しかし、6月22日17:45ごろ、阪神電車尼崎車庫内で車止めに激突する事故が発生。運転士の操作ミスが原因だったとされています。当初は修理予定だったのですが、結局5703号として生まれ変わるはずだった5006号は廃車となりました。届け出も5006号のまま行われたようです。

竣工日から考えると廃車が2022年3月なので、享年35ということになります。人間の感覚で行けば50代後半くらいといったところでしょうか。若いとは言えないけれど、まだまだ働けるくらいです。5237号についてはわずか21年、人間で行くと34歳程度。もっともっと走れたはずです。

 

この事故以降、5000系のリニューアルが止まっていること、5702号で故障が頻発したことから、山電としては不具合を抱えている可能性の高い5703号をわざわざ修理してまで運用しようとは思えなかったのかもしれません。とはいえ5503号と5237号は特に足回りは変更されてないはずなのでやはり車体へのダメージも大きかったのでしょうか。

 

さて、生き残った2両(5253-5603)ですが、今後どうなるのでしょうか。中途半端にリニューアルされてしまっているので扱いが難しいでしょうね...不幸中の幸いか、5253号はパンタグラフを積んでいるはずなので、MM'ユニットの制約を受けません。(積んでなかったら生き残りは5603号1両のみになるのでそのまま編成丸ごと廃車になっていた可能性が高そうです。)

車体番号的には5000号や5002号もリニューアルするつもりのようなので、どちらかをリニューアルして5700-5800-5500-5600-5253-5603という編成を組んで直特の運用に復帰するのが一番おさまりが良いでしょうか。それか廃車になった車両から使えそうな部品だけ引っ張ってきて、6050形の登場でしょうか?(編成としては、6053-5253-5603といった感じでしょうか。6053をMc3として6000系と連結させるため、5030系(5237号車)から機器を引っ張ってきたイメージで奇数(53)にしています。ちょうど下1桁も3で揃いますし。)

 

5253-5603には廃車になった4両の分まで元気に走ってほしいなと思います。最後になりますが、廃車となった、5006(5703)-5007(5803)-5503-5237の4両のご冥福をお祈りいたします。